無料ソフトが使えなかった理由は、AIで消えました
毎年、同じ時期に同じ請求が来る。
金額は覚えている。何のために払っているかは、少し考えないと出てこない。
そして、その請求を止められる選択肢があることを、多くの方が知りません。
この記事は、その請求書の話から始めて、まったく別のところへ着地します。 無料のソフトを勧める話ではありません。AIで何が変わったかという話です。
順番に7つ書きます。この順番自体が、この記事の中身です。
1. そもそも、知られていない
無料で使える業務ソフトがあります。
**オフィスソフトだけではありません。**PDFの編集も、図面を描くものも、画像を扱うものも、 業種特有のものもあります。中には、その分野で標準に近い扱いを受けているものもあります。
それを知らないまま、毎年払い続けている。
これは担当者が怠けているから起きるのではありません。構造の問題です。
いま契約しているソフトは、たいてい**「決めたときには合理的だった」**ものです。 そして一度決まると、**決め直す機会がありません。**更新の案内は来ますが、 そこに「他の選択肢はこうです」とは書いてありません。書く理由がないからです。
**比べる機会が無いまま、更新されていく。**問題はそこにあります。
2. 知っても、「無料は怖い」
ここで、多くの方はこう思われます。私もそう思っていました。
- **なぜ無料なのか。**裏があるのではないか
- **安全なのか。**どこの誰が作っているのか分からない
- **サポートが無い。**困ったとき、誰に聞くのか
- **いつ止まるか分からない。**業務が動かなくなったらどうするのか
この不安に、「大丈夫です」と答えるつもりはありません。
3. その怖さは、正しかった
これまでは、本当に採用しにくかったからです。
理由は3つあります。
**聞く先が無い。**マニュアルは薄く、社内に詳しい人はいない。 外に頼もうにも、対応してくれる業者が見つからない。
**機能が足りない。**商用のソフトにある機能が無い。 それだけでなく、業務で使う部品や雛形が、何も揃っていない。 真っ白な状態から自分で作る必要がありました。
**情報が海外にしかない。**まともな情報は英語やフランス語の掲示板にあり、 日本語で検索しても、個人ブログが数件出てくるだけでした。
「昔から使えたのに、知らなかっただけ」ではありません。 **使いにくかったのは、事実です。**避けてきた判断は、正しかった。
4. 変わったのは、ソフトではありません。AIです
ここが、この記事でいちばん言いたいところです。
無料のソフト自体は、以前とそれほど変わっていません。環境のほうが変わりました。
**聞く先ができました。**分からないことを、24時間、何度でも聞けます。 **同じことを3回聞いても、文句を言われません。**これは人間の相手には頼めないことです。
**海外の情報が読めるようになりました。**英語の公式文書も、 利用者どうしのやりとりも、そのまま読んで要点を出せます。 日本語という壁が、薄くなりました。
**選び分けられるようになりました。**同じ分野に似たものが並んでいるとき、 更新が続いているものと、何年も放置されているものを見分けられます。 放置されたものを掴むのが、この分野でいちばん多い失敗です。
足りない部分を、後から埋められるようになりました。 機能が無いなら、外から足す。部品が無いなら、作って足す。 「揃っていないから使えない」が、理由でなくなりました。
この4つが、そろって変わりました。
5. だからこれは、無料ソフトの話ではありません
主語はAIです。
AIによって、これまで採用できなかった選択肢が、採用できるようになった。 無料のソフトへの置き換えは、その最初の1例にすぎません。
そして私は、**この例を最初の1歩として勧めています。**理由は3つです。
効果が費用として、はっきり見えます。 AIの効果は、普通は目に見えません。「速くなった気がする」で終わります。 これは、請求書が減るかどうかで分かります。
失敗しても、元に戻せます。 買っていないので、やめるコストが小さい。試して、駄目なら戻すができます。
やってみると、AIがどこまで使えて、どこから使えないかが体で分かります。 これがいちばん大きい。AI導入の練習として、いちばんリスクが低い題材です。
安いから勧めているのではありません。
なお、無料にすることが目的ではありません
誤解されると困るので、はっきり書いておきます。
有償のものを勧める場面は、はっきりあります。
会計・給与・税務のように、制度に紐づく業務。 ここは無償のものを持ち込む場所ではありません。日本の制度への対応が要りますし、 顧問の税理士や社会保険労務士の先生と、一体で回っている領域です。 ソフトだけを外から入れ替える話ではありません。
**一方、制度に紐づかない業務。**文書、表計算、PDF、図面、画像。 ここに毎年払い続けている費用には、見直す余地があります。
**どちらがどちらかを、見分けること。**そこが判断のしどころです。
6. ただし、社内だけでは回りません
正直に書きます。ここが、いちばん難しいところです。
**選ぶ。**更新が続いているか。ライセンスは何か。向かない用途は何か。 判断材料の多くが海外にあります。
**見分ける。**置き換えてはいけない現場があります。 そのソフトを「作る道具」として使っているのか、「ためる場所」として使っているのか。 取引先から形式を指定されていないか。ここを見ないまま進めると、途中で止まります。
**埋める。**足りない部分を埋めるのは、AIを使えるだけでは足りません。 その業務を知らないと、何を作ればいいかが決まりません。
**続ける。**そして、いちばん失敗が多いのがここです。 入れた後、「使い方が分からない」で止まります。 入れることより、続けることのほうが難しい。
この4つには、伴走する相手が要ります。
7. 結果が見えると、説明できるようになります
費用が下がれば、社内にも社外にも説明できます。
社内へは、**「これだけ下がりました」**が通ります。 **そして、それがAI導入の最初の成功例になります。**次の一歩が通しやすくなる。
社外へは、目に見える結果があると、人に話せます。
そして、ここで終わりません。
費用が下がることは、入口にすぎません。 その先には、**「同じことを安く」ではなく「今できないことができる」**があります。 そこから先は、値段では比べられません。
最後に、この記事の限界を書きます
「導入すると何割下がる」という数字は、書きません。
**私がまだ測っていないからです。**私自身が実務で進めている置き換えは進行中で、 完了していません。手応えはありますが、記録として残せる形にできていません。
測っていないものを、数字で語らないことにしています。 数字を出したほうが説得力は出ます。それは分かっています。 ですが、それをやると、この記事がここまで書いてきたことと矛盾します。
お伝えできるのは、御社で、いくら下がるかをご自身で確かめる方法のほうです。
今日できること(費用なし・15分)
- **いま契約しているソフトを、紙に書き出す。**金額と、更新月と、契約した年
- そのうち「何のために払っているか」が3秒で出てこないものに、印をつける
- 印がついたものについてだけ、他に選択肢があるかを調べる
**それだけです。**調べた結果、今のままを選ぶなら、それが正解です。
知ったうえで「うちには不要だ」と判断されるなら、それでいい。 知らないまま選択肢から外れているのが、もったいない。
これが、私の立場です。